今回は株式会社KESホールディング代表、浅見悦弘氏にお話を伺ってきました。
「社長の履歴書」だけの特別なインタビューです。
ぜひご覧ください!
会社名称 | 株式会社KESホールディング |
代表者 | 浅見悦弘 |
設立 | 2001年3月 |
主な事業 | 船舶への機関部品供給、陸上・船舶エンジンを中心としたメンテナンス事業(外航船・内航船) |
社員数 | 63名(取材時)エンジニア33名 |
会社所在地 | 東京都品川区八潮1丁目1番2号 |
会社HP | https://kyoei-es.co.jp |
事業内容を教えてください
船舶の部品供給やメインエンジンを中心としたメンテナンス(外航船・内航船)、陸上用大型発電機整備等の事業を行なっています。7対3で内航船よりも外航船のほうが多く、お客様の割合は約38%韓国の船舶管理会社、28%がインドネシア船主で、その他が国内取引先様ですね。通常、船舶は新造から15年ほどで海外に売られていきます。海外の繋がりを持っておくと売られた船も自分達で引続き部品供給や修理が可能です。
M&Aを2015年から始めました。2015年に大雄興業(東京・福山/68期)、2017年にSGテック(苫小牧・函館/18期)、2018年にシーズ・アールイー(静岡/27期)を買収し、近々函館に関連会社ができる予定です。
部品と修繕の両方を請け負える会社にしていきたいですね。現在は中国のロックダウン等で海外での船舶のメンテナンスが難しくなっているため、日本国内造船所での修理案件が多く、当社への依頼も多々あり、かなり忙しい状態です。
学生時代はどのように過ごしていたのでしょうか?
私は大学時代、夜間の学部に通っていました。昼は日本最古の英字新聞社J社で働き、夜は勉学に励んでいました。私の履歴書はユニークで1982年にJ社に経理として入社して、1983年に大学を卒業しています。J社の仕事を始めたのは地元の先輩に誘われたことがきっかけです。J社で働く前は家業の花屋を手伝っていましたが、新聞社の仕事に魅了を感じ採用していただきました。
最初に配属されたのが経理部でしたが、お世話になった編集部役員が広告局に配属変更になり、私も付いていく形で広告営業部に配属され、九州や沖縄など地方自治体を対象とした広告や企画を提案する仕事をしていました。非常に面白い仕事だと思っていましたが、活字離れやアメリカ同時多発テロ(2001.9.11)が原因で経済はもとより、新聞広告全体や求人広告が激減し、坂道を下るように売上も下がっていきました。今後の人生を考えた時に3代目代表にならないかと誘われたので、キャリアチェンジを決意しました。
いきなり社長に就任されたということですがどのような状況でしたか?
船舶部品供給会社は私を入れて4人で再スタートしましたが、会社案内はない、予算はない、不良在庫を多く抱えた状態でした。会社はぎりぎりの状態だったので、とにかく早くこの会社をなんとかしないといけないと思っていました。まずは予算を作り、営業をするためのリストを作成して、1件でも案件受注ができるよう奔走していました。
20年間の社長業で一番苦労したことはなんですか?
やはり資金繰りですね。会社を立て直すために銀行で5000万ほど借り入れました。当時の私には大きい額で連帯保証人の欄に名前を書くのをためらったことを覚えています。銀行からも会社の方向性や売上向上に関する具体案を何度も確認されましたね。
あとは人の問題です。島国である日本は、生活自給率が低く、資源のほとんどを海外からの輸入に頼っています。船舶業界は生活必需品の物流や各種燃料・ケミカル製品の供給などを担っている社会的意義のある事業ですが、実際は人目に触れないすごく地味な仕事です。そうなると求人が難しくなっていきますね。
どの業界から転職する方が多いのでしょうか?
エンジニア以外は一般の会社から転職してくる人が多いです。例えば、自動車業界で経験のあるエンジニアが当社で働いています。そのスタッフが言うには、以前の勤めていた会社では車の整備の技術を磨くよりも、ITによるエンジン内部チェックが主流で、エンジニアの本領が発揮できないのが現状だったそうです。
一方、船舶のエンジニアは、航海中や造船所での整備期間中に必ずエンジンを整備完工させるために相当な労力と経験を要しますがその分達成感があります。自分の力を存分に発揮したい方にはぴったりの環境だと思います。
採用にも力をいれていらっしゃると思いますが、どのような方と働きたいですか?
メンテナンス系の仕事や技術職を担う人は経験者を雇っています。採用に関しては絶えず募集していますので、ご興味のある方はぜひご連絡ください。当社はコミュニケーションや繋がりを大切にできる環境です。船舶業界は優しさや人情で回っていく業界なので、そういったことを大切にできる人が良いですね。 船や物流に興味があって働いてみたい!という方も大歓迎しています。
最近は日本人の船員やエンジニアの人数が減少傾向にあり、いつか養成学校を作って若いうちから船の構造やエンジン整備の勉強ができ、キャリアを築けるような勉強する場を提供したいです。
弊社では先輩社員が自分の技術をしっかりと広めていってくれているので、安心して仕事を覚えられると思います。
外国人の社員もいらっしゃるんですか?
韓国やインドネシア等のアジア各国への輸出が増加する中、当社では、韓国人・インドネシア人、中国人・フィリピン人などの外国人を雇用し、現地語による詳細情報入手に力をいれています。雇用する前は社内コミュニケーションをどうしようかと思っていましたが、いざ一緒に働き始めると、外国人の社員が日本語を流ちょうに話し、最近では日本語で各メーカ様への値引き交渉までやってくれるので頼もしい限りです。また10年ほど当社に在籍してくれた外国人が日本国籍を取得しました。ビザ取得なども積極的にサポートしていますし、グローバルな環境で働けるのも当社の魅力です。
今後の展望を教えてください
船舶でトラブルが発生したらなんでも対応できる会社にしていきたいですね。現在、苫小牧、函館、東京、清水、福山、ジャカルタに拠点があります。今後はアジアを中心とした海外で幅広い船舶メンテナンスができるエンジニアリングに力を入れていきたいです。
船舶は365日24時間稼働しているので、働き方改革も重要ですが、海外でも実力が発揮できるエンジニアを育て、1秒でも早くトラブルを解消し、船舶の安全航海のために何が提供できるかを考えていきたいですね。昔の慣習が残っているので、新しい時代に合わせたサービスや働き方を提案していきたいです。日本で生活していると全く気にしませんが、アフリカのソマリア沖やマラッカ海峡など外国ではいまだに海賊が出没し、船舶や積荷、船員を人質に現金を要求される可能性があります。最近ではIT技術を駆使し、船の中をキャッシュレス化にしていく動きもあるそうです。また豪華客船などではお客様が乗船期間中、快適にネットが繋がるサービスも整備されつつあります。
こういった新しい時代に向け、当社でどんなサービスが提供できるか業態変更も常に考えています。
経営者の方へのおすすめの本はありますか?
落合信彦さん著書の「戦い いまだ終らず 」です。四国の来島どっくの社主で、ダイヤモンドフェリーや佐世保重工・函館どっくを立て直した坪内寿夫さんをモデルにした本で、この業界において、常に私を基本に立ち返らせてくれます。日本は島国だから船を建造するべきだと大宝米蔵が提言して、今までのように一隻ごとのオーダーメードではなく、同じ船型でコストダウンし、一日も早く建造し造船業界を発展させました。少しでも当時の苦労がわかればと思い読み返しています。本の中のエピソードで、会社再建を請負い、その会社に挨拶のため社員全員分のお菓子を贈ったが手をつけてもらえなかったエピソードがあります。私も一度グループ化した会社の全社員から辞表を提出された事があり、その時ばかりは会社経営の難しさを痛感しました。技術があり歴史も長い会社だったので、私のサポートを受けたくなかったんだと思いますが、今では全社一丸となり事業拡大に邁進してくれています。
実業や成功の物語なので船舶に関係のない業種でも楽しめる1冊だと思います。
財界の既成勢力に挑む! 満州で敗戦を迎えた大宝米蔵。故国へ帰った彼は、日本一の経営者をめざし、天性のカンとアイディアで月島ドックを甦らせ、次々と企業再建へ…。(解説・平尾圭吾)
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投稿者プロフィール
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新入社員を含めたフレッシュなメンバーを中心に、出版サポートの傍らインタビューを行っております!
就活生に近い目線を持ちつつ様々な業種の方との交流を活かし、「社長に聞きたい」ポイントを深掘りしていきます。
代表者様のキャリアを通して、組織の魅力が伝わる記事を発信していけるよう、これからも一生懸命運営してまいります!
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