今回はクロダ精機株式会社代表、佐々木 俊一氏にお話を伺ってきました。
「社長の履歴書」だけの特別なインタビューです。
ぜひご覧ください!
| 会社名称 | クロダ精機株式会社 |
| 代表者 | 佐々木 俊一 |
| 設立 | 1970年(昭和45年)4月 |
| 主な事業 | 精密プレス部品試作 |
| 社員数 | 39名(取材時) |
| 会社所在地 | 長野県下伊那郡豊丘村神稲(クマシロ)9268-1 |
| 会社HP | https://kurodaseiki.co.jp/1-1 |
事業内容を教えてください
クロダ精機株式会社は「御社の試作工場」というキャッチフレーズを掲げ、精密プレス部品の試作製造を行っている会社です。金属の板を切ったり曲げたりして成形し、精密プレス部品を作り上げます。自動車などの部品で将来的に大量生産したいというお客様のための試作をしております。
特に薄いものと小さいものを得意としており、精密部品の試作をされるお客様が多いです。最近では電気自動車の部品試作などにも取り組んでいます。
他にも特徴はありますか?
豊富な材料在庫と年間350日稼動の「コンビニ工場」をコンセプトに、多くの技能士による確かな技術で短納期を実現しています。試作品は早く欲しいというお声があるため、短納期でお客様に試作を届けています。
私は「オンリーワン」の会社を目指しており、日本にここだけしかない価値のある会社を目指しています。お客様にとっても、社員、社員の家族、地元の方など関わる人にとって「日本にここしかない」会社にしていきたいです。
普通の製造業者は手順書通りにしていくだけで良いのですが、当社の仕事の場合、細かい部分はお任せで依頼がくるため自分で考えて仕事をする必要があり、物作りが好きな方には向いている会社だと思っています。お客様から「こんなものが作りたい」と言われることが多く、自分たちで設計することもあります。工夫できるところに仕事の面白さがありますね。
もし興味があれば当社のHPをご確認ください!
URL:https://kurodaseiki.co.jp/1-1
ここからは佐々木社長のことをお聞かせください。学生時代に頑張ったことはありますか?
クラシック音楽が好きで中学校ではトランペット、高校・大学ではトロンボーンを担当していました。しかし、音楽を仕事にしたいとは全く考えておらず、大学は工学部に進学しました。元々数学が好きで、勉強するなら理系で学びたいと思っていました。クロダ精機は父が創業した会社ですが、当時は継ごうとは考えていませんでしたね。
卒業後は何をされていましたか?
フリーで様々な仕事を経験しました。電気工事などの仕事はしましたが、製造業は一切関わったことはなかったです。
思い出に残っているのは子ども向けの化学に関するイベントを手伝ったことです。20代前半なのに子どもたちから「おじさん」と呼ばれ衝撃を受けたことを覚えています。また、様々な人と知り合えたことは大きな財産になっています。多種多様な価値観を持つ人達と関わったことで視野が広がりました。
なぜ新卒で就職を選択されなかったのですか?
第2次ベビーブームの頃に生まれたので就職活動がとても大変な時期でした。私は国立の理系だったのでそんなに苦労はしないと思ったのですが、まだ自分のやりたいことも確固として決まっていなかったので、自分の興味のある仕事を多く経験することで人脈や経験を増やしたいと思っていました。
しかし、29歳の頃に父の体の容態が悪くなり実家に戻ることになりました。何も仕事しないのも良くないので、まずは家業の手伝いをすることから今の会社でのキャリアがスタートしました。しかし、まだその時点では会社を継ごうとは考えていなかったので、翌年の公務員試験に向けて勉強をしていました。
家業に入社後はどのような仕事をされたのでしょうか?
最初の2、3ヶ月のお手伝いの時は事務仕事をしましたが、その後は現場で経験を積みました。現場の物作り知らなければ会社のことは何も分からないと思い、5年ほどは現場一辺倒でしたね。最後の方はなんでも屋さんのように、どんなことでも対応していました。
私が社長に就任する3年ほど前に現在の会長が脳梗塞で倒れて1年近く会社来れなかったことがありました。幸い元気に今でも会社には出社していますし業績も悪くはなかったのですが、やはりこの先どうなるんだろうという不安が会社にはありました。そんな時に、会長から「1年後に社長をお願いする」と言われて準備期間をいただきました。その時は製造部長だったので、本当にドキドキでした。とりあえずどんなことでも経験しようと決意し一層仕事に邁進しました。
社長になる前の仕事でやっていて良かったことはありますか?
技能者の資格を取得したことです。製造業はあまり評価されることがなく、周りに認められることがありません。当時は何もわからなかったのですが、とりあえず技能士の資格を取ることにしました。現在、当社では技能士の資格を持った社員が多くおり、道を開けたと思っています。
社長になってから大変だったことを教えてください
新型コロナウイルス拡大の時が大変でした。リーマンショックの時に50年や100年に1度の不況だと言われていたので、自分の時は好景気で事業ができると思っていましたが、大きく予想が外れました。
どのように対応されましたか?
2020年から売り上げが3割下がってしまったので、マーケティングを強化しました。まずはできる限り展示会に出展し様々な人たちと交流しました。毎回良い機会があるわけではありませんが、可能性を閉ざすことはできないと、コロナ禍でしたが頑張って出展しました。
また、仕事がない日はスタッフ全員で掃除をしていました。コロナがいつまでどうなるかわからなかったので、ひたすら我慢の日々でした。その中で、働き方改革が出てきました。製造業は残業代で生活するのが当たり前の世界でしたが、残業は少なくして、基本給を少しでも上げていき、去年やっと水準に追いつきました。
素晴らしいですね
ありがとうございます。当社は長野の田舎にあるので、最低賃金がまだ1061円(令和7年現在)です。今後は東京の最低賃金は下回らないような給与水準にしていきたいですね。新型コロナウイルスの拡大の時も当社は補助金に頼ることはありませんでした。それは先代たちの手堅い経営のおかげです。私も安定した経営をして、利益の繰越をしていきたいです。
経営をするうえで大切にしていることは何ですか?
なんでも面白くやることです。
仕事をしていると楽しくないこと、つまらないことがたくさんあります。それをいかに楽しく面白くできるかが大切なことだと思います。
今後の展望を教えてください
今の会社の規模を継続していきたいです。
またきっちり仕事はしますが、楽しく儲けるようにしていきたいです。お金を払う人がいるから仕事は儲かります。松下幸之助さんの言葉通り、「儲けが出ないってことは、変なことをしている」のではないでしょうか。世の中に必要じゃないことにはお金払ってくれないので、流行にアンテナを張っていたいですね。
製造業の中でも当社は自動化やロボット化ができないことが強みです。社員には「仕事と作業をちゃんと見極めないとダメなこと。仕事省略にAIを使うのはよいけれど、当社の価値との棲み分けをすること。」と伝えています。今までの当社の創意工夫と努力で信頼が積み重なってきました。クライアント企業もそこに価値を感じて依頼してくれているので、これからも「オンリーワン」の会社を目指していきます。
経営者におすすめの書籍はありますか?
松下幸之助さんの『道をひらく』がおすすめです。
経営でもやもやした時に。ふと読むと心に沁みる1冊ですので、ぜひ読んでみてください。
| 『道をひらく』松下 幸之助 (著) |
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