今回は阪神特殊自動車株式会社代表、足立 和宏氏にお話を伺ってきました。
「社長の履歴書」だけの特別なインタビューです。
ぜひご覧ください!
会社名称 | 阪神特殊自動車株式会社 |
代表者 | 足立 和宏 |
設立 | 昭和37年9月1日 |
主な事業 | 一般貨物自動車運送事業(霊柩) |
社員数 | 51名(パート11名含む)(取材時) |
会社所在地 | 兵庫県伊丹市瑞原1丁目28番地 |
会社HP | https://hantoku09.jp/ |
事業内容を教えてください
阪神特殊自動車株式会社は昭和37年9月の設立以降、霊柩搬送を主軸に近年では葬儀社のお困りごと解決業を手掛けています。
兵庫県伊丹市(昭和58年移転)に本社営業所を置き、神戸営業所(神戸市兵庫区)、神戸北営業所(神戸市北区)、明明石営業所(明石市)、丹波篠山営業所(丹波篠山市)、姫路営業所(姫路市)、小野営業所(小野市)を配置し、京阪神間を始め近畿地区全域を営業区域(事業者番号64-930号)として霊柩車・寝台車を運行し、ご遺体の搬送を行っています。
各地域の葬祭業者様や地方公共団体様からのご遺体の搬送業務委託を主に、一般個人(御葬家)様からのご依頼に基づき、病院や老人ホームなどの高齢者施設でお亡くなりになられた方を葬儀場やご自宅にお送りしています。
一般的には霊柩車でのご遺体の搬送は葬儀社が行っていると思っていました
葬儀社にも様々あり、全てを内製化している会社もあれば、全てを外注している会社、一部のみ外注をしている会社もあります。
外注されている会社は勿論ですが、内製化されている会社であってもご遺族からの依頼が重なり自社リソースが足りない場合、当社へご依頼いただいています。
葬儀、告別式の設営などは行わずにあくまでも搬送に特化した形で事業を展開しているので、葬儀社とライバルにならず、大手から個人規模の葬儀社まで幅広いお客様からご依頼をいただいております。
当社の仕事についてより多くの方に知っていただけるよう、マンガを公開しています。
求職者へ当社の仕事を知っていただきたく制作しましたが、それ以外の方にも好評いただいています。
下記URLよりご覧いただけますので、ぜひご一読ください!
https://hantoku09.jp/recruit/comic/
搬送業務の他に葬儀社から特に好評なサービスは何ですか?
葬儀社の夜間業務代行です。葬祭業界は24時間365日、依頼が発生したら即座に対応しないといけないため、電話当番や夜間対応スタッフを配置していました。しかし、働き方改革や人手不足なども相まって夜間に依頼を待っているだけの人を配置するのはとても大変です。
そのため当社で夜間業務代行を行っております。そうすることで葬儀社には日中のセレモニー部門だけに集中していただけるような仕組みを整えました。
また、普通のコールセンターに任せると、お客様からの電話を受けてから一旦葬儀社への確認が必要になりますが、私たちが電話を取ればそのまま車の手配ができ、折り返しせずにワンストップで対応できます。ご遺族の方は気持ちが落ち込んでいらっしゃることも多く、葬儀や搬送の手配がスムーズであれば負担を軽くすることができます。
夜間業務代行の詳細は下記URLをご参照くださいませ。
https://hantoku09.jp/business02/
ここからは足立社長のことをお聞かせください。学生時代の思い出を教えてください
小学校から高校3年生まで野球をしていました。
私の生い立ちは少し大変で、中学校3年生の時に両親が離婚したのですが、2人の弟は父親に付いていったので家族がバラバラになってしまいました。私は母親に付いて行って、家計の足しになればと思って、高校を出たらすぐに社会に出ました。
昔から社長になることを志していましたか?
父方が昔から当社の経営をしていたので、小さい頃から祖父や父親から「いずれは跡継ぎに」と刷り込み教育を受けており、小学校の卒業文集で将来の夢は“跡継ぎ”と書いていたほどでした。また、幼い頃は創業者の祖父に毎週のようにお寺に連れていかれていました。お寺では子供からお年寄りまで様々な人と分け隔てなくコミュニケーションをとります。この経験があったからか、学生時代は特定のグループと遊ぶのではなく、いろんなグループに顔を出して分け隔てなくみんなと遊ぶタイプになりました。
卒業後すぐに家業を継いだのでしょうか?
一度、鉄鋼関係の会社に就職しました。
高校時代の野球部の先生が、「野球しながら働ける会社あるよ」と会社を紹介してくださり、そこに就職を決めました。刷り込み教育の反動と言えばいいのか誰かに決められた道ではなく、自分で決めた道を一度は進みたいと思っていたので、良い選択だったと思います。
社会人時代は、同僚や先輩・役員含め、みんなからすごく可愛がってもらいました。営業に転籍したり、労働組合の青年部の部長として関わったりと外部の方とも触れ合う機会があり、個性豊かな人とたくさん出会えました。また上場企業だったので、会社の仕組みや制度などを知ることができてよかったです。自分が家業に入った時は最低限のところだけでも上場企業に近づこうと努力しましたね。
どうして家業に入ろうと思ったのでしょうか?
父親の体調が悪く、持病もあり「体調も良くないから、戻ってくるなら今だ」と言われました。また祖父からは「お前が戻って来ないのなら会社は潰す」と言われました。順調なサラリーマン生活だったのでとても迷いましたし、自分が入ってちゃんと事業をまわせるかどうか分かりませんでしたが、当時家業で勤務していた17名の社員の雇用を守りたいと思ったのがきっかけで、入社を決めました。それでも、答えを出すまでの半年間、自分の中で悶々と悩みました。
実際に入社していかがでしたか?
2014年に入社後驚いたのが、社内にパソコンがなかったことです。伝票など全て手書きで、現金集金を基本としていました。そのため、入社してからエクセルを活用するなど、アナログなことを少しずつデジタルに変換していきました。社内には高齢の方も勤めていたので、ゆっくりと手取り足取り進めていきました。
社長就任の経緯を教えてください
入社して1年後の2015年に父親が亡くなったため、入社1年で専務になりました。管理職の下積みをしている間、祖父が采配を振ってくれており、2019年の5月に社長に就任しました。
社長になってから大変だったことを教えてください
働き方改革です。
この仕事は、搬送依頼がない時は事務所で待機し、電話が鳴ったらご遺族のもとに向かう必要があります。
いつ呼ばれるか分からないですし、24時間いつでも対応できるようにしなければいけなかったため、拘束時間がとても長かったです。しかし、働き方改革を実行すれば、1人あたりの稼働時間を減らすと、これまでと同じ量の仕事をこなすには人数を増やす必要があります。そこで1人当たりの勤務時間を3分の2にして、10パーセント給与を下げさせてもらいました。
そして当時の収益を全て人に投資し、赤字覚悟で人の採用をしていました。大改革だったので収支とのバランスが難しかったです。
今まで中途採用しか募集できず、早期リタイアされた55歳以上の方が圧倒的に多い職場でしたが、当社の仕事はご遺体をベッドから搬送車のストレッチャーに抱っこして移動させるので、体力が必要な仕事でもあります。そのため若い人を採用しようと考え、新卒採用にチャレンジしてみることにしました。学校を訪問するなど思いつく限りのやれることは全てやりました。
新卒社員は集まりましたか?
ご縁があり、取組み初年度に2名採用することができました。給与が他のところよりも良かったのが決め手だったそうです。採用後2年目からは既存社員と給与水準の差を設けてなかったのがよかったですね。また、就活生は身近な方の死に直面してお葬式を経験されて、興味を持ってくださる方が多かったです。
また、新卒採用を始めるにあたり、事前に先輩社員の教育チームを結成し、手取り足取りを教える社内体制を2年かけて構築しました。先輩社員からすると息子世代が入社してくることもあり、背中を見て学べという昭和なやり方ではなく、手取り足取り必要なことを丁寧に教えてくれました。いつどこでどんな困りごとが発生しても対応できるように、これからも一生懸命体制を整えていきます。
今後の展望を教えてください
業界に貢献できるような企業づくりをしていきたいです。
当社は直接ご遺族に接する機会は少なく、あくまでも葬儀社の縁の下の力持ちです。なので、当社とタッグを組めば、より良いビジネスができると思ってもらえるような会社にしたいです。
また、日本の文化として葬祭業を残す一員でありたいです。当社の業務は、悲しみの中でありながら遺族に心から「ありがとう」と言っていただける尊いお仕事です。本当に人から感謝される良い仕事なので、将来に向けて残していきたいと考え日々邁進しています。
素晴らしい事業ですね
はい、お亡くなりになった方のこれまでの人生、ご遺族様にとっては最後の一時となるこの時間を大切に、人と人とのサービスを提供していきたいです。少子高齢化の時代となっており、お亡くなりになる方の人数は2040年まではずっと右肩上がりで増えていきます。社会的意義のある事業なので、当社とシナジーを生んでいきたい方や企業がいましたら是非ご相談ください。
また、現在積極的に採用を行っております。
ホスピタリティあふれる行動と思いやりの心を持って人と接する方と一緒に働きたいと考えています。
当社の事業に少しでもご興味を持っていただけましたら、下記採用サイトも合わせてご覧いただけると嬉しいです。
他の経営者におすすめの本を教えてください
塚越 寛さん著書『末広がりのいい会社をつくる ~人も社会も幸せになる年輪経営』『リストラなしの「年輪経営」: いい会社は「遠きをはかり」ゆっくり成長』がおすすめです。
社会貢献しながら、社員を幸せにしていく、この両立を考えることができる本ですのでぜひご覧ください!
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投稿者プロフィール

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新入社員を含めたフレッシュなメンバーを中心に、出版サポートの傍らインタビューを行っております!
就活生に近い目線を持ちつつ様々な業種の方との交流を活かし、「社長に聞きたい」ポイントを深掘りしていきます。
代表者様のキャリアを通して、組織の魅力が伝わる記事を発信していけるよう、これからも一生懸命運営してまいります!
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