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株式会社チャイルドサポート代表 佐々木 裕介氏

  • 03/27/2025
  • 03/27/2025
  • 仕事
  • 69回

今回は株式会社チャイルドサポート代表、佐々木 裕介氏にお話を伺ってきました。

「社長の履歴書」だけの特別なインタビューです。

ぜひご覧ください!

 

 

会社名称 株式会社チャイルドサポート
代表者 佐々木 裕介
設立 2023年
主な事業 スマホで解決!養育費保証      CHILD SUPPORTの運営
社員数 1名(取材時)
会社所在地 東京都中央区銀座一丁目22番11号
会社HP https://childsupport.co.jp/

 

事業内容を教えてください

株式会社チャイルドサポートは離婚時の公正証書作成支援と離婚後の養育費保証に関するサービスを提供しています。

そもそも養育費は100%支払われるべき法的義務ですが、離婚後、養育費を受けている母子家庭の割合はたったの28%です。

なぜこのような事態になっているのか。法律家の視点で見ると、やはり「正しく離婚をする」ことができていないことが原因と考えています。離婚後の子どものために、養育費や面会について法的な合意(公正証書作成)をすることが「正しい離婚」の方法だと思いますが、公正証書を作成して離婚届を出す人の割合は約24%です。「正しい離婚」をする人が増えると、養育費の支払率が向上し、子どもとの面会率も向上して、子どもの福祉に資すると考えています。

当社では離婚公正証書の作成に関する情報収集や合意書作成をLINEで行うソリューションを提供し、離婚時の合意形成を促進するような仕掛けを作っています。また、養育費が途中で支払停止となる人も多いことから、養育費の回収代行・保証・弁護士費用補償をセットにした養育費保証サービスを提供しています。

離婚協議から養育費保証までまるっとお任せいただけるのが、当社のサービス「CHILD SUPPORT」です。

 

具体的にどのようなサービスか教えてください

離婚をするための「公正証書作成支援」と離婚後養育費の支払いが確実に支払われる「養育費支払い保証」の2つを提供しています。海外では、強制的に国や自治体が支払義務者の給与や財産を差し押さえられるような法整備が進んだ国もありますが、日本で「養育費確保」をすることは自助努力が不可欠な制度になっています。そのため、養育費に関する合意形成から執行までの法的手続きを自己負担で行うことを強いられるひとり親、特にシングルマザーに負担がかかるという問題があります。このような合意形成から執行までの手続負担や法律サービスにかかるコスト負担の課題を解決することが当社の事業構築の元になっています。

興味ある方は下記URLよりご確認ください!

サービスサイト: https://childsupport.co.jp/

プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000124548.html

 

何かPRしたいことはありますか?

現在、採用を強化しており、弁護士や行政書士、また資格勉強中の方も募集しています。またマーケティング、PR、自治体連携や事業者連携の職種も募集しています。

当社の事業に興味のある方はぜひ下記より詳細をご覧ください

URL:https://www.wantedly.com/companies/company_1952294

 

ここからは佐々木社長のことを教えてください。学生時代に頑張ったことはありますか?

小中高はずっと公立で、野球しかしていませんでしたね。野球はセンスが求められるスポーツで練習の仕方が上手であれば上達し、反対に練習が下手だと、いくら練習しても上手くなれず、下手なりの癖が体に染み込んで余計に下手になっていくスポーツだと思っています。

野球を通じて、何事も上手くなるための「取り組み方」をしっかりと考えた上で動かなければ物事はうまくいかないという教訓を得ました。

また、高校時代は通学が長かったので、本を沢山読んでいました。将来は国際開発や人道支援ができるようになりたいと思っていましたね。何か専門性を身につけるために勉強しようと思っていました。高校2年生の頃に9.11(同時多発テロ事件)があり、イラク戦争の是非については様々な議論があり得る中で、当時の小泉首相が「日本はアメリカの対テロ戦争を全面的に支援します」と開口一番言ったのがすごく印象的で「世界ってアメリカ中心に回ってるんだ」と思うようになりました。そこからアメリカの大学を目指しました。

 

実際にはどこの大学に行くのでしょうか?

アメリカの中西部ミズーリ州にある大学に行きその後ニューヨークに編入しました。大学で政治学(国際関係学)を勉強していたので、法律をもう少し深めたいと考え、帰国後に慶應義塾ロースクールに進学しました。

 

アメリカに留学されていましたが、どうして日本の弁護士資格を取得したのでしょうか?

将来は独立して、自分の思いを何らかの形にしたいと漠然と思っていましたが、日本の弁護士資格を持つことで独立するために困らないとイメージできたからです。

 

印象に残っている経験はありますか?

弁護士になる前、国際NGOで働いていた期間がありました。

そこでは「ジャパニーズフィリピノチルドレン」という、日本人男性とフィリピン人女性の間にできた子どもが父親に対して認知請求や養育費請求をする活動の支援をしていました。

女性たちが日本でフィリピンパブなどに勤務し、日本人男性との間に子どもをもうけるケースが多くあるのですが、父親から認知や経済的支援を受けられないケースが多くあります。

フィリピンに半年間滞在し、その後日本でも活動を続けた経験が、今の事業を作る上での原体験の一つになったと感じています。

 

弁護士資格を取得後はどのような経歴になるのでしょうか?

法律事務所で弁護士としての最初のキャリアを積みましたが、英語を使って仕事をしたいという思いがあり、その後海外の法律事務所に勤務しました。経営の意思決定の近くで勤務したいという思いから転職して、フィンテックスタートアップ「Paidy」で法務・コンプライアンス部長として4年間勤務しました。Paidyの急成長期に入社して、最終的にはアメリカのPayPalに3,000億円で買収されるまでに成長し、とてもエキサイティングな経験をしました。

 

印象に残っているお仕事を教えてください

Paidy所属当時、100名規模の会社が各分野のプロフェッショナルを集めて成長するという企業のダイナミズムを肌で感じられたことです。Paidyの社長がどのように組織を率いているのかを間近で学べたことも大きな財産となりました。社長の仕事への姿勢を見られたことで、経営者とはどのような存在かを知ることができました。

また、今の事業の養育費保証はPaidyからもヒントを得ています。離婚をする人にとって士業サービスを買うということは一定のハードルがありますが、離婚後の保証を組み合わせることによって士業サービスへの敷居を低くするという新しいアイデアを持てたのも、保証という分野で起業しよう決心がついたのも、Paidyでの経験があったからです。

 

いつ頃起業を考えたのでしょうか?

学生時代から漠然と考えてはいました。弁護士事務所在籍中にイギリスに留学していた期間がありましたが、その時期にリーガルテックの勃興もあり、養育費に関するペインを解消できるサービスをテックで作れないかと考えていました。留学期間中、プログラミングを勉強したり起業のアイデアを温める準備期間にしていました。

具体的に事業の形が決まったのは、経済産業省の「始動」というプログラムに参加していた期間中です。このプログラムではアイデアを徹底的に壁打ちできる環境があり、そこで養育費保証のビジネスモデルが明確になりました。そして、2023年3月に会社を設立しました。

 

起業してから大変だったことはありますか?

株式会社で起業するということは法律事務所やNPO法人としての活動とは大きく異なります。単に事業を運営するだけでなく、社会にインパクトを与えられるような仕組みを作りたいという思いがありました。

現状の養育費の支払い率28%を上昇させることを1つの指標とし、事業の方向性を示す「北極星」にしています。

創業当時から、ITの仕組みを離婚手続きに組み込むことで、離婚の合意形成を最適化・自動化できないかという思いがあります。しかし、検証を進めると、離婚のように人の感情に大きく左右される手続きは、元々ITサービスとの親和性が低く最適化・自動化が極めて難しいということに気づかされています。ただ、すべての離婚に士業が深く関与することは現実的とは思えず、今後も、離婚手続きにどこまでITの仕組みを組み込むことができるか、検証を続けたいと思っています。

 

日本の離婚の問題はどこにあるのでしょうか?

そもそも日本の法制度、特に「法は家庭に入らず」という精神からくる協議離婚の制度は、大きな問題を孕んでいると思います。アメリカや韓国をはじめとして大多数の先進国では、子どもがいる夫婦が離婚をしたいと思ったら、離婚後に子どもをどうやって育てるかを両者で取り決めたペアレンタルプラン の作成が義務付けられています。養育費や子どもの監護方針など、ちゃんと事前に取り決めて、裁判所に認可されて初めて離婚ができる制度になっています。

しかし、日本 は離婚届1枚で離婚が成立するシステムなので、離婚後の子どもの監護についての話し合いの認識が夫婦間にありません。未成年の子どもがいる離婚では、協議離婚が8割を占め、調停離婚は2割に過ぎないところ、大多数が選択する協議離婚では、「法は家庭に入らず」がまかり通っているケースが多く、法律家が一切関与しないで離婚が成立してしまいます。その結果、養育費の支払率は28%、離婚後に子どもと別居親が定期的に会っているケースも3割程度と低迷しています。本来であれば、離婚という親同士の事情は親子関係に影響を及ぼしてはいけないという理念があり、養育費の支払いや面会も基本的に子どもにとっては当然の権利なのですが、実際の現場では、7割の離婚において養育費や親子交流という子どもの基本的な権利が守られていません。「法は家庭に入らず」という協議離婚制度の一番の被害者は離婚後の子どもたちだと思います。この点、海外と比較した場合、そもそも日本の法制度に問題があるとの指摘は的を得ていると思います

当社は、現状の制度下ではこのように子どもの権利が守られていないという実態があることを広く知ってもらい、「正しい離婚」について当事者の認知度を高めるための活動に注力しています。そして、公正証書を作るサービスに人的・物的・資金的な資本を投下して、正しい離婚ができる人が増えるように事業を推進していきます。

 

今後の展望を教えてください

通常のビジネスは、お客様の課題を解決することで成長すると思いますが、私たちの事業は社会課題を起点として描いているところがあります。「正しい離婚」の方法とは、お客様自身が課題として認識していないことが多く、それが当事者にとっての課題であることを認識させるための啓蒙からアプローチする必要があります。2026年5月までに家族法の法改正が施行され、共同親権制度が始まります。日本の離婚制度が大きく変わっていくタイミングと思われ、「正しい離婚」というキーワードを広めることで当社の事業を拡大していきたいと思います。

今までの単独親権制度下で離婚した場合、親権を持っていない親のうち面会できている親の割合は3割弱です。つまり7割は親としてのポジションから離脱してしまっており、親子断絶を引き起こしています。今後、共同親権制度では、離婚を契機とした親子断絶に直結させない世の中にしていくという理念が込められていると思います。そのような共同親権制度を運用していくための一つのピースとしてサービスを広げられたらと思っています。

 

具体的にどのようなことに取り組みますか?

まずは自治体との連携を進めます。自治体にとって、養育費の確保はひとり親世帯の経済的な困窮への対策でもあり、かつ、子どもの福祉向上のための取り組みです。また、自治体目線では、養育費確保を推し進めることによって、児童扶養手当や生活保護に関する財政負担が下がる効果も期待されます。自治体と一緒に「正しい離婚」の啓蒙に取り組むことで、離婚当事者、子ども、国や自治体といったすべてのステークホルダーにプラスの影響を与えることができると思っています。

次に、法務省の認証ADR(裁判外紛争解決)機関としての認証を取得することです。特に共同親権が施行された後は、離婚後でも父母が協力すべき場面が出てくると予想されています。例えば、子どもがパスポートを取得する際、これまでは親権者である母親の同意書のみで手続きが可能でした。しかし、共同親権が導入されると、離婚した父母はそれぞれが子どもに対する親権の行使が可能ですので、父母双方の同意が必要となる可能性があります。認証ADR機関としては、父母双方による親権行使を巡る話し合いの場を設定することで、家庭裁判所が果たす役割を補完し、共同親権制度が円滑に運用される環境作りに寄与していきたいと思っています。

 

経営者におすすめの本を教えてください

Matt Blumberg さん著、杉江陸さん訳の『スタートアップ・マネジメント 破壊的成長を生み出すための「実践ガイドブック」』です。私は前職のPaidyで、社長の姿勢が会社全体の風土に与える影響について深く考えさせられました。当時は代表取締役が2人いたのですが、その2人の間では、意見が合わない場合にはこの本に立ち返り議論の出発点にしようとの合意があったと聞いています。スタートアップ・マネジメントの本として実践的なことも多く書かれており、シリコンバレーの実務まで感じることができる良本かと思います。

また、野原広子さん著書の『離婚してもいいですか? 翔子の場合』は、事業の出発点になった本とも言えます。
※レタスクラブ連載時は『私は夫が大キライ 離婚してもいいですか? 翔子の場合』
この本は、女性側が離婚を考える際の心情を描いている作品ですが、「こんな心情の人って多分日本にたくさんいるな」と感じました。
多くの離婚相談を受けてきましたが、いざ離婚を決心したときに、養育費が確実に入るお金として計算できるかどうかは切実な問題です。金銭的な不安から離婚ができない人がいかに多いかを踏まえると、養育費の不払いとは、女性の自己実現(離婚)を阻む一つの要素だと感じており、社会としてはそのような女性の自己実現を阻む要素を一つ一つ取り除いていく作業が必要だと感じます。

【Amazon URL】

https://www.amazon.co.jp/dp/4478084874

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投稿者プロフィール

『社長の履歴書』編集部
『社長の履歴書』編集部
新入社員を含めたフレッシュなメンバーを中心に、出版サポートの傍らインタビューを行っております!

就活生に近い目線を持ちつつ様々な業種の方との交流を活かし、「社長に聞きたい」ポイントを深掘りしていきます。

代表者様のキャリアを通して、組織の魅力が伝わる記事を発信していけるよう、これからも一生懸命運営してまいります!