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一般社団法人 日本小児発達子育て支援協会代表 西村佑美氏

  • 12/19/2024
  • 12/18/2024
  • 仕事
  • 82回

今回は一般社団法人 日本小児発達子育て支援協会代表、西村佑美氏にお話を伺ってきました。

「社長の履歴書」だけの特別なインタビューです。

ぜひご覧ください!

 

会社名称 一般社団法人 日本小児発達子育て支援協会
代表者 西村佑美
設立 2024年
主な事業
  1. 神経発達症に関する専門家による個別相談・コンサルテーション事業
  2. 家庭支援サービスの提供および紹介事業
  3. 医療従事者向け専門的サポート事業
  4. 神経発達症に関する教育プログラムおよびワークショップの企画・運営事業
  5. 支援者向け専門的スキル習得のための認定資格トレーニング事業
  6. 神経発達症のある子どものきょうだい支援プログラムの開発・実施事業
  7. 当事者・支援者のためのネットワーキングおよび交流の場の提供事業
  8. 多機関連携による包括的な家庭教育支援事業
  9. 神経発達症に関する情報リソースの収集・提供および研究支援事業
社員数 2名(取材時)
会社所在地 107-0061 東京都港区北青山1丁目3番1号 アールキューブ青山3F
会社HP   https://www.cdpsa-japan.net/

 

事業内容を教えてください

一般社団法人 日本小児発達子育て支援協会は、発達特性のある子どもを持つお母さんのサポートを中心とした子育て支援のサービスを提供をしている協会です。

2020年から私西村が個人でSNSを中心に「ママ友ドクター®」というプロジェクトを始め、その後、2022年にオンラインコミュニティ「子ども発達相談アカデミー VARY」」を立ち上げました。そして、これまでの活動をさらに発展させ、より多くの方々にサポートを提供するため、2024年、一般社団法人日本小児発達子育て支援協会を設立しました。

一般社団法人日本小児発達子育て支援協会では「発達特性の子育ては、発想力も行動力も群を抜いた人づくり」を信念に、各地域の子育てに悩むお母さん達が子育てを学び、サポートを受けられるプラットフォームを作り、繋がることで、行政ができなかったリアルな子育て支援を提供しています。また発達特性を持つ子ども達は「少数派」「普通と違う」という貴重な人材に繋がるというポジティブなイメージを世間に広げる活動もしています。

なお、当協会は発達専門の小児科で当事者家族が代表を務めていること、小児科専門医や保育・発達支援が参加しているためプロとして質の高い支援や交流の場、学びの場を提供できるよう有償でサービスを提供しています。2024年10月からサービスを開始しましたが、今後は日本を代表するようなプラットフォームして、地域のお母さんも安心して頼れるサービスにしていきたいです。

また、各科専門医や心理士なども採用する予定ですので、非常に可能性のある団体になると確信を持っています。

 

何かPRしたいことはありますか?

2024年9月に『発達特性に悩んだらはじめに読む本』を出版しました。この本は子育てに“ちょっと困っている”ママやパパから、子どもの言葉の遅れや、かんしゃく・多動・園のいきしぶり等の行動に深く悩んでいる親御さんまで何度でも頼ってほしいという想いを込めて書いています。

医師&ママ目線でのアドバイスをわかりやすくまとめていますので、ぜひご覧ください!

URL:https://www.amazon.co.jp/dp/4058023600

 

発達障害のお子様を持つお母さんへのケアは、まだまだ日本は不十分なのでしょうか?

そうですね。10年前までは「発達障害」という単語さえもあまり普及していない状態でした。子どもたちは適切な練習を積むことでどんどん成長するのに、そういった練習が受けられる民間・行政の療育施設は数ヶ月待ちであったり、月に1回しかサービスが受けられなかったりと、かなり不足しており全国のお母さんお父さんが困っていました。さらに相談する場所も相手もいなく、孤独感にさいなまれ、悩みを抱え込んでいる方を多く見てきました。

近年、療育施設は増えましたが、スタッフのトレーニングが追いつかず、子ども達に提供される療育の内容の質・量が十分ではないという話も聞きます。そして、保護者への日頃の接し方の教育やケアが十分提供されていません。生活や人生に関わることですが、特に子育てで負担のかかりやすいお母さんたちが安心できる環境になるまでまだまだ日本は時間がかかると感じています。

 

障がいではなく「発達特性」という言葉をよく聞くようになりましたね

2010年代から言葉が遅い子どもや特性の強い子どもに関して、急速に研究発表が進みましたが、ここで明らかになったのは、日頃の近くにいる大人からの(保護者や保育者)声かけの大切さでした。しかし、このことが全く普及しておらず、発達支援の療育に通わせて、お母さんは見守っていれば良いと思っている方も多くいらっしゃいます。

お母さんやお父さん、保育者の接し方や声がけが変われば、早期であればあるほどお子さんの抱える課題が解決され、あるいは他の子と違う部分が強みにつながるように成長していきます。そのためにも、お母さんが情報を得て、子育ての底力を付けることが大切です。それが子どもの未来そして社会全体の未来を支えることに繋がります。

当協会のコミュニティで声掛けや接し方を学び実践していただいたお母さんたちは、皆さん自覚はなくてもどんどん子育てがうまくなっています。

もしご興味がありましたら下記HPをご覧ください。

URL: https://www.cdpsa-japan.net/

 

ここからは、西村先生のことをお伺いしたいです。学生時代の思い出を教えてください

私は宮城県の仙台市出身です。姉がいるのですが、重度の知的障害と自閉症を持っており、きょうだい児として過ごしてきました。当時は自閉症は親の愛情不足が原因だと言われる時代で、母親がとても苦労していたのを覚えています。振り返ると、お母さんの役に立てないかとおせっかいを焼く子どもでした。姉のことも大好きで、言語のコミュニケーションは取れませんでしたが、姉の伝えたいことは理解していましたね。姉との生活は、私の活動のきっかけで、AERAdot.でインタビュー記事が公開されたところYahoo!ニュースでランクインするほど注目していただきました。

https://dot.asahi.com/articles/-/239666

 

また、父の仕事の都合で小学校の高学年から中学校までの3年間を東ヨーロッパで過ごしました。

インターナショナルスクールに通って、20カ国以上の異なるバックグラウンドを持つ友人と過ごしたことで、言語がうまく喋れないながらも、個性を出して自分らしく生きていく方法を学びました。

 

帰国後、日本と海外のギャップはありましたか?

海外での生活を経験した私は、自分の意見を主張し、個性を表現することが当たり前で大切なことだと認識するようになりました。そのため、「普通」を大切にし、空気を読むことに重きをおき、人と違うことをすると批判が集まる日本で思春期を過ごしたのは少し苦しかったです。

ですが、中学校では生徒会をやったり、高校時代は応援団やダンス部に入ったりして、どんどん人前に立って過ごしていました。特にギャルが流行っていた時代で、格好も派手と言われても、服装を含め自分の好きなことを続けていました。

毎日放課後も活発に活動していたのため、授業中は寝ていて成績は良い方ではなかったのですが、母は「勉強をしていれば何をしてもいい」と私を信頼してくれており、母には時々叱られつつも好きなことをしていました。同時に、姉の言動が荒れて大変な時期に主治医や周囲からの協力が得られず苦しそうにする母の姿をみていつか家族を支えられる仕事をしたいと思うようになり、医師を目指し、医学部に進学しました。

 

医学部ではどのようにお過ごしだったのでしょうか?

医学部は進級がとても厳しいのですが、やりたいことを全力でやる我慢しないタイプだったので、空手部とダンス部と演劇部、英語研究会に入りました。特に文化祭の時期が近づくと体が何個あっても足りない状態でしたね。成績はあまり良い方ではありませんでしたが、無事に6年間で学校を卒業することができました。当時、勉強で私を助けてくれていた同級生の彼氏は夫になり、今ではビジネスパートナーとして一緒にプロジェクトに関わってくれています。

 

学生時代、将来は独立を考えていましたか?

医学部あるあるだと思うのですが、家族が開業医であれば家業を継ぐ人が多いです。私の親戚も開業医が多いのですが、勤務医を経てその後海外で仕事をするような父に育てられたので、好きなように医者として生きていこうと思っていました。

 

卒業してからの進路を教えてください

大学病院の小児科で勤務しました。大学病院では珍しい症例を担当したり学会発表を行ったり、様々な医師から学びともに治療にあたることができとてもやりがいがありました。

幸運にも、一人目の産休中に、小児科医であり発達診療の第一人者である平岩幹男先生のもとで学ばせていただくことができました。そこでは、医学心理学に基づいた特性のある子どもの接し方や伸ばし方、その指導方法を学びました。そして、産休明けと同時に中規模の病院に3年間出張にいく機会を得たため、発達外来を新規で立ち上げて診療にあたりました。開業医ではなく、専門性を高められる病院で働くことが私のやりたいことだと感じました。その後、二人目の出産を経て大学病院に復帰し、そこでも発達専門外来を立ち上げました。

 

発達外来を新設してからどのような反響がありましたか? 何か思い出に残っていることを教えてください

たくさんの方に来ていただき、「子どもが変わった、成長した、可愛いと思えるようになった」などの嬉しい反響をいただきました。

一方で、ある重要な出会いがありました。もともと、乳がん治療後のあるお母さんがお子さんのことを相談しに通ってくださってました。とてもサバサバした優秀な方でしたし、お子さんが私の長男と同い年でした。ある日久しぶりにいらっしゃって「乳がんが再発し、余命宣告を受けました。子どもが成人するまで、見届けられません。子どものために何ができますか?」と相談を受けました。私はとてもびっくりしていましたが、医師の立場だったので、淡々とお話しすることしかできませんでした。すでに3人目の産休に入ることが分かっていたのですが、連絡先の交換などは原則できないため、私は気がかりで仕方ありませんでした。

この経験から、医師の枠を超えてもっとお母さんに寄り添った活動を診察外でしていきたい! と強く思いました。

 

なぜ発達に関するオンライン活動を始めたのですか?

三人目の産休中に新型コロナウイルスの流行が始まり、その影響で世の中が変わってしまい、乳児検診が中止になったことがきっかけです。

乳児検診は、お子さんの健康を確認するだけでなく、お母さん達が鬱状態に陥っていないか、子どもについて相談することはないかを確認するとても大切な場所なのに、軽んじられていることに危機感を覚えました。

その時、私の中で問題意識が強くなり、乳幼児健診の解説動画を作ってYouTubeとInstagramの発信をスタートしました。

試行錯誤しながら発信をしていると、出演依頼やセミナーの依頼をいただくようになりました。そのうち発達や子育てのオンラインコンサルティングや相談会イベントを主催して、現在のコミュニティが出来上がりました。

 

勤務医時代にやっておいてよかったことはありますか?

大学病院で症状が重い子どもの治療を担当したことは良い経験になりました。何万人に1人の病気の子や、いつ亡くなってしまうか分からない子、無菌室にいるため家族と対面できない子を多く見てきました。自分や子どもが健康でいることの尊さを心から実感できる日々を送りました。

また、最前線の現場を見たからこそ、我が子のために必死になっているお母さんをサポートしたいと心から思えました。多くの子どもとお母さんに接してきた経験があるからこそ、親の気持ちを全力で受け止めた上で冷静にサポートをすることができるようになったのだと思います。

 

経営者として大変だったことを教えてください

医者は職人業で、自分のスキルを磨きそれを最大限患者さんに還元するのが仕事だと思っています。また、私の発言により深く落ち込み傷ついてしまう親子がいる可能性もあれば、とても良い方向にいくこともあるので、責任感・使命感を持って向き合っています。

しかし、経営者として仕事をする場合、ワンマンで職人気質な部分を前面に出すとうまくいかないことがわかりました。私がチームを引っ張っていかなければなりませんが、こだわりを通すとコミュニケーションのやりとりで支障が出ることが何回もありました。

経営者になるまで、どうすれば患者が良くなるか、最善策のみを考える仕事をしてきたので、基本的に妥協することはありませんでした。しかし、経営者の仕事を通して、こだわりを持ちつつも妥協策を考えなければならないことを学びました。

「チームで動く」ということをしっかりと意識して切り替えられるよう、精進しています。

 

これまでのお仕事とやり方や考え方が変わるのは大変ですね

そうですね。ビジネスパートナーから会社の規模は経営者の器で決まると言われました。そのためにも、私自身が視座を高くしなければなりませんので、自信を持って仕事をしますが、決して驕らず意見の相違があっても相手を否定しないことを気をつけています。経営者の基本中の基本を改めて体験して学んでいる最中です。

 

今後の展望を教えてください

当協会を卒業したお母さん達が、プロのメンターとして活躍できる制度を作ります。プロのママ友となって、相談したいお母さんを助けられるようになってほしいです。そんな女性が1人でも地域にいたら、新米のお母さんはとても心強いですよね!

また私のように母親をしながら医師をしている方に是非アドバイザーになってほしいと思っています。今後、当団体に入会すれば、医師とオンラインで話せる仕組みを作っていきたいです。

またお母さんにフォーカスした講座や相談会は多くありますが、これからはお父さんも育児に参加していく時代になってきました。各企業さん向けのお父さんに対するサービスを展開していきたいですね。

現在は発達に関するお悩みがメインですが、将来的に不登校やインターネット依存症やゲーム依存症、スマホ依存などこれから社会問題になるデバイス依存に向けた相談にも取り組んでいきたいです。コロナ禍を経て、小学生もゲームに夢中になり昼夜逆転して学校に行かない子どもが増えています。依存症を低年齢のうちは予防するしかありません。予防プログラムを提供して、子どもにもっと面白い外の世界を伝えていきたいです。

 

私も外を歩いていると、スマホで遊ぶ子どもが増えてきたのは感じますね

お母さん達は子どもが静かにするならスマホを渡しておけば良いと思っているかもしれませんが、スマホを見ることで親子の愛着部分に影響します。小児科学会が警鐘を鳴らしてはいるものの、社会的にリスクの浸透がされていません。子育て力の底上げとは、子どもをあやしたり遊ぶこと、関わり方が上手になることも含まれます、スマホに日々のかかわりを頼る育児の危険性を知ってほしいです。

 

に読者へメッセージはありますか?

日本ではまだまだ「発達障害」と呼んでいるように、発達特性がある子どもはネガティブに捉えられますが、シリコンバレーでは自閉症スペクトラムの特性ある人間をすごく貴重な人材として捉えています。発達特性のある子ども自体は人材の金の卵です。AI時代に入り近い将来、発達特性のある子どもが成長したときに活躍できる世の中になっていると思っています。今は育てることが難しいと感じる特性があっても、将来的に本当に面白い魅力あふれる子どもに成長していくでしょう。子育てに落ち込んでいる時間はもったいないので、是非「医学心理学的な研究に基づいた」子どもの伸ばし方を一緒に勉強していきましょう!

 

他の経営者におすすめの本を教えてください

岡本純子さん著書『世界最高の伝え方: 人間関係のモヤモヤ、ストレスがいっきに消える!「伝説の家庭教師」が教える「7つの言い換え」の魔法 』、加茂登志子さん著書『1日5分で親子関係が変わる!育児が楽になる!PCITから学ぶ子育て』です。

大人・子ども関係なく伝え方や接し方の基本や大切な軸となる内容は同じなのですが、なぜか対子どもになってしまうと話し方や伝え方が変わってしまう方がいらっしゃいます。 心理学的にも怒らない子育てはなんでも受け入れてくれるお母さんのイメージになるけれど、子どもをわがままにしてしまうリスクがあるためので、心理学的に受け入れつつもリーダーシップを取って子どもを引っ張っていく姿勢が好ましいです。

ぜひ子どもへの接し方を勉強して、ブレない教育方針を持たれると、良い関係性を築けます。

拙著でも紹介しておりますが、興味がある本はぜひ読んでみてください!

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投稿者プロフィール

『社長の履歴書』編集部
『社長の履歴書』編集部
新入社員を含めたフレッシュなメンバーを中心に、出版サポートの傍らインタビューを行っております!

就活生に近い目線を持ちつつ様々な業種の方との交流を活かし、「社長に聞きたい」ポイントを深掘りしていきます。

代表者様のキャリアを通して、組織の魅力が伝わる記事を発信していけるよう、これからも一生懸命運営してまいります!